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竜胆

ひとときだけ
口の端を上げて
思うことも　語ることも　泣くことも
出来ないなら
本物の笑顔にかわるまで傍にいるから

何もないからと嘆かないで
人がいれば助け合えるから
形あるものに頼らないで

情(こころ)があれば
何も壊されない

虚無

心の中湧き出した猜疑は

何人の目にもふれられず

摘まれることもないけれど

神仏(てん)の目には

黒い渦巻きに見えるでしょう

言葉を操り 意味さえ欺き

空しい空しい 幻の城を築く業に

迎えるものも 人もないところに

何の意味があるでしょう

何が残るでしょう

優しい人が両手を広げて

偽りを除こうとしても

拒み嘲る幻城の住人は

些末な行為と映すでしょう

人を操り 己さえ欺き

虚しい虚しい 壁を壊す術も知らず

留まるものも人もないところに

何の意味があるでしょう

何が残るでしょう

聖流 

それは
静かに　姿も見せずに
誰にも知られず
空へと浮かんでいく

大きく小さく
広がり寄り添い
形を変えながら
大気を旅する

やがて森に触れて
降りた先では揺れて
眠るように深く
呼吸を繰り返す

古より　巡り巡り廻る
尊い命の源の流れ
生きとし生きるものの全て
潤す糧となる